月経痛

月経は、毎月一定周期で繰り返す子宮内膜の剥離出血です。排卵後1週間くらいたつと子宮内膜はエストロゲンやプロゲステロンの影響を受けて厚くなり、受精卵を受け入れられるように準備をします。受精しなければ、子宮内膜ははがれ、血液とともに排出され、これが月経になります。1回の月経期間は、3~7日程度です。

 

月経痛は、月経時にみられる下腹部痛、腰痛など骨盤を中心とした部位の痛みで、月経が始まった初日から2~3日目がピークとなります。月経痛には、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫など病気が原因となる場合と、原因不明の機能性の月経痛があります。機能性月経痛がある人は、子宮内膜で産生される痛みや炎症を引き起こすプロスタグランジンという生理活性物質の分泌量が体質的に多いことが原因と考えられています。プロスタグランジンは、子宮を収縮させて月経血の排出を促す働きがありますが、多いと子宮の収縮が強くなり月経痛も強くなります。

 

機能性の月経痛の場合、市販または婦人科や内科で処方された鎮痛剤による対症療法が第一選択になります。ほかに漢方薬による治療もあり、月経痛には、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、温経湯(うんけいとう)、加味逍遥散(かみしょうようさん)などが用いられます。漢方では、症状と証(東洋医学の基準で決まる個々人の体質)との組み合わせによりくすりを処方するため、同じ症状でも処方されるくすりが違う場合もあります。証にあわないくすりを飲んでも効果が期待できないばかりか、症状を悪化させることもあるため、専門医で受診し、自分の体質にあったくすりを処方してもらう必要があります。

 

低用量ピルの使用により、月経血量の減少、疼痛が緩和されます。また、点鼻薬や注射により卵巣の働きを抑える偽閉経療法もありますが、継続すると女性ホルモンの不足により更年期障害のような症状があらわれるため長期間の治療はすすめられません。一般的に、子宮筋腫や子宮内膜症などの病気がある場合に、半年間程度の期間限定で行われます。子宮や卵巣に病気のある場合の月経痛は、痛みを取る対症療法を行いながら病気の治療を行います。

 

 

月経前症候群(PMS)

月経前症候群(PMS)は、「月経前の黄体期におこる精神的、身体的症状で、月経発来とともに減退、消失する症状」と定義されており、月経前になると決まって不快な症状が現れ日常生活に支障をきたすことで、月経前症候群(PMS)と診断されます。生活に支障のないものはPMSではありません。

 

PMSの症状には、乳房痛、乳房緊張感、むくみ、腹部膨満感、頭痛、腹痛、倦怠感、肌荒れなどの身体症状と、イライラ感、情緒不安定、抑うつ、注意力散漫、睡眠障害などの精神症状があります。精神症状は、イライラして家族などにあたる、仕事の効率が下がる、仕事にいけなくなるなど、深刻な場合もあります。

 

PMSは、排卵後、女性ホルモンのプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が増える黄体期(基礎体温の高温期)に現れ、最も症状が多いのは月経がはじまる1週間前ですが、排卵日にあらわれたり、月経開始後2~3日まで続いたりと個人差があります。

 

PMSの原因は、黄体期のプロゲステロン(黄体ホルモン)の不足、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロンのバランスの乱れなどが考えらてきましたが、更年期障害と同様、未だにはっきりしていません。女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンのバランスの乱れを整えるため、脳内の神経伝達物資の分泌量がふえることにより引き起こされているという説もあります。このほか、性ホルモンに対する感受性や遺伝要因なども関与しているのではないかといわれています。

 

基礎体温を2周期つけ、月経前の決まった時期に症状があらわれるようなら、PMSと診断されます。PMSは、規則正しい食事、十分な睡眠、適度な運動など、生活習慣の改善や運動などで緩和、改善される症状が多くあり、治療には、セルフケアやカウンセリングなどの非薬物治療と、漢方薬やホルモン剤、向精神薬などを用いた薬物治療があります。

 

2015年12月8日更新